
非エンジニアの私が、コツコツAIツールを作るなかでずっと思ってたことがある。
「ChatGPT(ブラウザ版)だと、なんであんなに気が利くのに、APIで同じことやると、ちょっとそっけなくなるんだろう…?」
同じモデル、同じプロンプト、なのに
なーんか「にんげんみ」が消えちゃう。
これ、めちゃくちゃ悔しいし、ツールを“人に届けるもの”として作ってる自分にとっては致命的だった。
でも。
最近ついに、見えてきた。
プロンプトだけじゃなく、“構造”と“事前処理”を変えると出力の質が変わる。
しかも、APIでもあの気の利いた文章に近づけるルートがちゃんとある。
今日はまだ試しきれてない段階だけど、
「これは絶対たどり着ける」と確信したので、その途中経過をまるっと残しておきます。
この記事は、未来の自分と、同じ違和感にモヤモヤしてる誰かのためのメモです。
🪜 背景:APIの出力ってなんかズレてない?
ChatGPT(ブラウザ版)って、ちょっとすごいんですよ。
- 指示があいまいでも、ちゃんと意図をくみ取ってくれる
- 行間を読んで、こっちの気持ちを補ってくれる
- 思わず「そうそう、それが言いたかった!」ってなる返しをしてくれる
でも。
APIでまったく同じプロンプトを投げると、
なぜか 「ちょっとズレてる」「そこじゃない」 って感じの返答が返ってくる。
たとえば👇
- 本質からちょっと外れた説明をされる
- 文脈を無視してる感じのまとめになる
- なんなら、会話の温度感すら伝わってない
これがいわゆる「冷たさ」とか「無機質さ」に見える正体。
実際には“的を外したまま丁寧に返される”ことが多い。
じゃあ、どうしてそうなるのか?
これはモデルの性能うんぬんじゃなくて、
「前提が共有されてない」「文脈が手渡せてない」ことが原因なんだと思う。
つまり、APIで出力の精度を上げたいなら、「プロンプトを工夫する」だけじゃなくて、「前提の渡し方」そのものを組み立て直す必要がある。
ということで、次の章では私が“あのにんげんっぽい出力”をAPIで再現するためにやっている作戦を紹介します。
🧠 私が再現したかった“あの出力”
再現したかったのは、「小さな気づきと対話の記録」
セッションの中で生徒さんがふとこぼす“迷い・つぶやき・気づき”。
それに対して、コーチがあたたかく、でも押しつけがましくなく応えてくれる、あのやりとり。
たとえば、こんな場面。
- 生徒:「これって英語で言っていいのかな、ちょっとヘンかも…」
- コーチ:「大丈夫です!そのままいってみましょう」
- 生徒:「えっと、I’m a little… confused?」
- コーチ:「いいですね、その表現で十分伝わりますよ〜」
こういう“ささやかなやりとり”って、後から見返すとめちゃくちゃ励みになる。
しかも、英語表現だけじゃなくて「そのとき何を感じて、どう乗り越えたか」の記録にもなる。
でもこれ、APIでまとめようとすると👇
- つぶやきが拾えない
- 感情の温度が消える
- 書き言葉すぎて“本人の声”が見えない
つまり、「ただの記録」になっちゃう。
“心が動いた瞬間”を残したいのに、それが抜け落ちる。
だから私は決めた。
この「小さな気づきと対話の記録」は、絶対に“にんげんみ”を大事にした出力にしたい。
そのために、次の章で紹介する
「プロンプトの前にやるべき下準備」と「出力を“温める工夫”」を試してみた。
🔧 再現するためにやったこと
「プロンプトがすべて」そう思っていた時期が私にもありました。
でも、この“人間っぽい出力”に関しては、プロンプトだけでは無理だった。
だからこそ、私はプロンプトの手前にある「仕込み」の部分をめちゃくちゃ見直しました。
やったことは、大きく分けて4つです。
① 会話ログを「いい感じに分割」する
そのまま全部渡すと長すぎるし、GPTの集中力が切れる。
かといって短すぎても文脈が切れる。
だから、「テーマごと」や「発言ペアごと」に、いい感じの粒度で会話を分割。
たとえば👇
- 生徒が悩んだ発言+コーチの返し
- 気づきが生まれた瞬間の前後3発言分
- セッション中に場面が切り替わったところ
こうして、「小さなドラマ」が1セットになるように整えてから渡す。
ちなみに、一気に10ペアくらい投げるとGPTが迷子になります。
話題が散って、的を外した出力になることも。
だからこそ、1セットごとの単発処理にして「そのやりとりにだけ集中」してもらう。
これが人間っぽい出力にはめちゃくちゃ効きました。
② テキストを“耳で聞こえたまま”っぽく整形
セッションは基本しゃべり言葉。
だから、GPTに書き言葉で読ませるとトーンが死ぬ。
なので、あえて整形ルールを甘めに設定👇
- 語尾の「ね」「うーん」「あっ」などを残す
- 口語っぽい言い回しもそのまま使う
- 誤字は補正するけど、省略や言い直しは残す
結果として、“空気のゆらぎ”が伝わるログになる。
③ 出力フォーマットをあらかじめ決める
「何を抜き出したいか」をGPTに丸投げするとブレる。
だから、以下のように出力イメージを先にテンプレ化して見せておく👇
- 生徒のつぶやき → ふとした疑問や迷い
- コーチの応答 → それに対する自然な返し
- 補足コメント → なぜこのやりとりが大事か(モチベUP視点で)
さらに、指示文にはこう書いた👇
- “セッションで実際に交わされた内容のみを使用してください(創作禁止)”
- “モチベーションが上がる言葉づかいで”
- “生徒の自己理解・成長実感につながる視点を意識してください”
④ 温度感を伝える語彙を最初に刷り込む
「モチベーションUP」や「やさしい応答」を期待するなら、それっぽい表現を最初にGPTに見せておくのが大事。
たとえば、
- 「自然に話せたね!」
- 「そういう気づきが成長につながるよ」
- 「それでも言ってみたことがすごい」
みたいな“あたたかい語り口”を事前に例として含めておく。
すると、出力にもちゃんとあの温度感が乗る。
こうして初めて、私は「APIでも、気持ちのこもった出力が出せる」という感覚を掴めたのです。
📦 今後やってみたいこと
この出力方法、まだまだ伸びしろがあります。
とくに気になってるのはこのへん👇
- 発話ペアの自動抽出&整形:
セッション全体から「小さなつぶやき→コーチの返し」の流れを自動で見つける仕組みを作りたい。 - 話者ごとの語り口クセ分析:
セッションが溜まってきたら、「迷ったときの口グセ」「よく出るつなぎ言葉」などを横断的に記録したい。 - “誰かの言葉”で出力を温める仕組み:
出力を冷たくしないために、最初に「この人らしい語り口」や「優しい応答例」などを提示してから本出力させる仕組みをもっと試したい。 - n8n連携で完全自動化:
コーチングセッションが終わったら、自動でレポート生成&ポータル反映までやりたい。
まだまだ発展途上だけど、API出力を「にんげんっぽく」育てていく方法は確実にある。
そう感じられたのは、大きな収穫でした。
📝 まとめ:プロンプトだけじゃ、足りなかった。
この記事の核心はここです。
- 「プロンプトだけでは、人間っぽさは生まれない」
- 「でも、仕込み方を変えると出せるようになる」
整形の工夫、会話の分け方、例文の使い方、指示文のトーン
それら全部が合わさって、ようやく“伝わる出力”が生まれる。
ツールを作る側としても、「中身がいい」だけじゃなくて“言葉として、心に残る”ものを届けたい。
この記事はその第一歩。
未来の自分へ。
まだ完璧じゃないけど、絶対いけるぞ。
この記事を書いた日を、きっと後から見返すことになる気がする。
そんな予感がしてる。